2023年3月24日金曜日

小川洋子の5冊 その3 注文の多い注文書 クラフト・エヴィング商會との共書

 40段目4番

ラーメンの名前


夢を見た

店に入ったのだった

中はザワついていた

肩を叩かれ席に案内された

カウンターではなくテーブル席だ

小さなテーブルで椅子はひとつだけ

目の真ん前にテレビがあり、まるで専用だ 

点いていたかどうかは記憶にない

おそらくその店の子供たちだろう 数人が連れ立って現れた

そのうちのひとりがガラスの容器を持っていて

「かき氷がサービスでつくのだ」

と言った

そういえば前の客の容器がまだ残っている 後片付けもあるので大人数で登場したのだろう

「ご注文は?」

誰かが聞いた

卓上にメニューがあり、おすすめ品が2つ大きな字に引き伸ばしてあった

上の方を注文した

注文した途端 「お待たせしました」

と、丼鉢がどんと大きな音を立てた

(さて)と割り箸を割ろうとしたところで

案の定、目が覚めた

値段は¥510だった 下のモノが¥610

注文したのだからラーメンの名前を告げたはず

どうしてもそれを思い出せない

しかし目覚めてからこんなふうに隅々まで再現できるなんて、まるで奇跡だ

しばし寝床で満足感を満喫した




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