36段目10番
アルバムの2曲目
に自信作を持ってくるのがコツ、ビートルズのLPを聞けばよくわかる
と泉谷しげるが、のたもうていた記憶がある
「さて、2軒目に借りたアパートについて話そう」
と行きたいところなのだが、正確には3軒目だ
1軒目は湯沸かし器の爆発で机を焦がしてしまい、その上にチェンマイの英語版フリーペーパーを置き、そのまま出てきてしまったのだ
忘れてしまいたい過去がコトを曖昧模糊としてしまう一因かもしれない
タニン通り(ฃอยธานินทร์)に面してある、現在のSBマンションが、ぼくの借りた2軒目のアパートだ
名前を思い出せないのでマルマルアパートと書くことにする
1年の半分以上をタイで過ごしていた
マルマルアパートを数年続けて借り、飽きが来ていた
「次回は新しい所を捜すつもりだ」
というようなことをエイズで死んだエークに語った
エークが「いいのを見つけてやったぞ!」
と得意げに鼻の穴を膨らませた時には、そこへ引っ越すことが決定事項になっていた
ハッサディセーウィー通り路地の4(ฃอยหัสดิเสวี4)にあるパンティップアパート(บ้านพรรณทิพย์)でマルマルアパートから歩いて3分の距離だった
自分の意志が伴わないのにアパートを借りてしまったのは、日本も含め後にも先にもこの時だけだ
2階建てで上に4部屋下に4部屋 俺は2階だった
たとえばマルマルアパートの場合はこうだ
月の21日に入居すれば残りの10日分を日割り計算してくれ、21日に出れば21日分を払うというか、それを敷金から引いてくれた
で、余った金額を受け取る
ところがだ
パンティップアパートをチェックアウトしたのは4月11日
大家は1ヶ月分をマルマル差し引いた
ここの敷金は1ヶ月だったので行って来いだ
俺は怒りに震えた
まくし立てたつもりだが、相手は何を言ってるのか分かってないようだった
エークを連れて来るしかなかった
エークは頗る口が上手い 仲介した責任だってあるはずだ
だが大家は強硬だった
エークによれば
アパートを出る際<11日以上住んだなら1ヶ月分支払い、10日以下なら半月分を支払う>
と契約書に明記してあるんだそうだ
サインはしたが、読んでなかった
当時タイ語は、ほぼ読めなかった
バンコク行きのバスの時間が迫っているので諦めるしかなかった
パンティップアパートに住んだ3ヶ月は、最後にアヤがついてしまったものの、好ましいこともあった
チャングプアク通り路地4(ฃอยช้างเผือก4)にあるチャングプアク火葬場(สสานช้างเผือก)の対面に広がる一帯は置屋街だ
越したお蔭で歩いて5分だったそこへ、もっとぐっと近づけた
一番近い娼館までなら何と1分で行き着いてしまうのだった
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