31段目1番
かたくりの湯
へは、定休日の月曜にぶつからない限り、5日と20日の月2回行くようにしている
冬場は寒いので、毎日だったシャワーは1日置き、体は洗わず髭と頭を剃るだけだ
スキンヘッドにするまで、髭を毎日当たっていたかどうか記憶にない
とにかくスキンヘッドにしてからは、毎日剃らないとみっともなくなるので、ついでに髭も剃っていた
頭を剃るのは図書館へ出かけるで、8:30頃だ
図書館のあとに、東武下今市駅へ行ってパソコンをいじり、その日、食べる分の買い物をしても余裕で昼前には帰れる
午後、出かけることは酒がなくなって買い足しに行く以外はない
よく考えれば朝剃るのだから、2日目だってそれほど伸びてないしコロナマスクで髭は隠せる
これなら暑くなっても1日置きで(いけそうだ)と内心ほくそ笑んでいる
何よりガス代の節約になる
ある日のことだ
コロナだから、かたくりの湯では、なるべく人と離れたところに浸かる
左右対称に座ろうとする意識から両の掌を湯舟の底にくっつける癖がある それが栓に触れた
ちょっと触っただけなのに浮き上がって、もとに戻らなくなってしまった
湯はどんどん抜けていき、あせりにあせる ついに抜けきってしまった
10:00のオープンに合わせて行くから、湯はまだ新しいはずなのに、底がだいぶ汚れていた
他の年寄りたちが、怪訝げにこっちを見つめている
「すみません 栓が抜けちゃいました 大丈夫です 何とかします 待っててください」
低姿勢で詫びて、脱衣場へ駆け戻り、従業員を呼んだ
背格好も鼻も口も顔も、何から何までぜんぶ大振りな、男が現れた
初めて見る顔だ
「た、大変です せ、栓が抜けちゃいました 早く受付に知らせてください ぼくは、どうすれば、い、いいんでしょう?」
吃もりながら言うと
「栓をすればいいんです こんなことでフロントを煩わせちゃダメです 温泉なんだから、湯は溢れんばかりです」
そこで、夢だと気づいた (ホッ)とした
行けば丹念に体を洗う 月に2度だけだから(ゴシゴシ)と真剣に打ち込む
湯には3回入る 1回目は15分、2回目と3回目が12分の計39分だ
10:00に入って12:00に出る ぼくより長く滞在する輩はいない
もちろんママチャリだ 坂道だから行きは良いが、帰りはきつい
夏場は汗だくになる
そこで部屋のシャワーを浴び下着を穿き替え、一件落着だ
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