30段目2番
??学校
ある朝、健康公園を走っていたら一人の男に呼び止められた
男は笑顔で一枚の印刷物を差し出した
ぼくだけじゃない
走ってる人 歩いてる人 太極拳をやってる人 佇んでいる人目につく人すべてにチラシを配っていく
レースの案内だろうと見当をつけた
レースの列に飛び込んで、チェンマイテクニカルカレッジまで行ってしまってから10日ほど経っていた
家に帰って辞書と格闘し、書いてあることを把握した
??学校で11,5キロのミニマラソンがあるのだ
ハテナ?としたのは別に名前を隠してるわけじゃない
この学校主催のレースには5回以上出場し、場所もしっかり把握している 度忘れだ
グーグルマップで念入りに調べみたが、出てないのだ
タイも最近は少子化と聞くが、まさか廃校ってことはないだろう
レース関係のチラシ類はずっと取っておいたが、チェンマイを引き揚げる時「もういいだろう」と捨ててしまった
まずは位置の確認しなくちゃとママチャリで??学校を捜す 下見だ
ナイトバザールはチェンマイの観光スポットだ
それが広がるチャンクラン通りを南下し、大きな交差点をそのまま突っ切る
道は真っすぐではないが道なりに行く
次に直角に交わらない変形した交差点に出くわすが、チャンクラン通りをひたすら行く
ランナーパレスホテルを通り越し、さらにパークホテルを過ぎると、右手に草ぼうぼうの今は使われてないであろうサッカー場がある
その先の路地(これが分かりづらかった)を入っていくと??学校だった
近くに歩道橋があった 手前か先だったかは忘れた
路地は学校で行き止まり
レースの時は、車バイクはもちろんママチャリもサッカー場に止めるのだ
例によってコースを紹介しよう
ここの校庭も狭いが、まずチャンクラン通りに出て北上する
これがシードンチャイ通りで、通りをそのまま進めば外堀通りのチャーングローとなる
そこからはチェンマイテクニカルカレッジのコースとまったく同じ
つまりチャーングロー通りから9,7キロのコースを1周し、また??学校へと戻っていくのだ
もし11,5キロが正確なら??学校とチャーングロー通りの間は、900メートルということになる
9,7キロ+1,8キロ(900メートル×2)=11,5キロだ
朝でも昼でも夕方でも健康公園では、ぼくより早く走る人を見たことがない
だからレース全体でも「ベストテンには入るだろう」と当然のように考えた
とんでもなかった 井の中の蛙だった
ダッシュ同様に走っても先頭からは、みるみるミルミル面白いように離されていく
自分のペースで走るしかなかった
残り2キロを切ったターペー門あたりから、足がまったく上がらなくなってしまった
それでもどうにか歩くことはなしに、ゴールした
50歳から59歳までの6位であった
5位だったらトロフィーを貰えた タイの市民マラソンは何故か5位までが入賞なのだ
49分08秒で年齢別のトップから3分も遅れをとったのだ
主催者がどこであろうとレースの後には、最低でもพาร์ตงโค揚げパンとโจ๊กおじやが、振舞われる
??学校は豪華であった
ウィンナや春巻きのおかずもあってお菓子までついた
またチャンクラン通りはオープン形式のカラオケBARの宝庫であった
店の外にもテーブルを置き、歌えるようになっている
レース会場に1時間前には着くようにしていたので、チャンクラン通りをママチャリで駆け抜けるのは4時台だ
まだ営業しているところが2,3軒あって女がずらりと雁首をそろえている
手を振れば応えてくれる女がいた
「何事も経験さ」と、ある日、とあるカラオケBARに踏み込んだ
正々堂々とボラれた
女はつけたが一人だけだし、飲んだのはグラスビールを2杯 1時間もいなかったし、歌だって3曲だ
それで勘定が8800バーツだ
そんな大金用意してなかったので、付け馬と肩並べてATMへ行くしかなかった
朝起きるとどうも自分の部屋ではなさそうだ 机にはビールが5本林立している
BARと隣り合うゴールデンインホテルの部屋だった
やけを起こし大枚叩き、ホテルにチェックインしてしまったのだ
さて??学校主催のレース3回目の朝だ
チャンクラン通りまで来たら、坊さんが溢れかえっていた 茣蓙を敷き座り込んでいる
何かの大会だろうか?
これじゃ車は通れない 自転車もところどころで降りて、押さねばならなかった
黄色い僧衣がほとんどで、比丘尼の白いものも混じる
あずき色や橙色はあったかどうか?
日本が大乗仏教で、タイが上座部仏教くらいの知識はある
日本の坊さんは結婚できてもタイは無理だ
上座部仏教のタイ語の言い回しを忘れてしまったので、格段にレベルアップしたらしいグーグル翻訳に打ち込んでみた
テーラワートเถรวาทと出てきたが、記憶にない
試しに小乗仏教とやったらニガーイヒンヤーンนิกายหินยานとなった
これには覚えがあった 上座部仏教と小乗仏教は同じもののはずなのにどういうことだろう?
自信はないがぼくなりの見解を述べてみる
テーラワートはサンスクリット語がタイ語になったもので、上座部仏教一般を指す
ニガーイヒンヤーンは、おそらくタイの仏教に限って使う言葉なのだ
うちは龍蔵寺の檀家だが、龍蔵寺が曹洞宗なのか浄土宗なのか知らない
上の姉に10回は確かめたが、咽喉元過ぎれば忘れてしまう
一等最初に買ったタイ語テキスト本、得度式งานบวชの章に<日本人のほとんどが信仰する宗教を持っていないと知ると、タイ人は不思議な心持にならざるを得ない>とあった
これまでに自分を仏教徒だと捉えたことはない ものごころつく前からガチガチの無神論者だった
60を遥かに過ぎ角も取れ丸くなったが、今でも無神論者であることに変わりはない
この仏教の催しは今回たまたまチェンマイだったのか、毎年の恒例なのか?
やっとの思いで??学校にたどり着いた
集まって来た人たちは、いつもの半分もいないようだ
スピーカーが、多分必要あることをがなり立てている チンプンカンプンだ
思い煩っているうちにピストルが鳴り、スタートしてしまった
おっとおっととぼくも走り出す
坊さんたちがたむろするチャンクラン通りをすり抜け、左に曲がった
広い道路をまた左だ しばらくしてまた左折 もう1度曲がったら??学校だった
あっという間だった
コースの変更どころではない、改変だ 3キロも走ってはないだろう
表彰式はあったかどうか? 振舞物は例のごとく豪華であったか?
とにかく気持ちがゴタついてしまい、帰りもママチャリのはずだがレース後の記憶が一切ない
またまたグーグルマップで、この時のコースを再現してみる
チャンクラン通りを北上し左に曲がった道は、チェンマイランド通りだろう
マヒドン通りに出るところで左折、さらに左に折れてパープラーオ通りへ
道なりに進めばチャンクラン通りになるから、もう1度左に曲がってゴールだ
正しいかどうかは知らない
??学校が現在どうなっているのかも知らない
ロト6の1等賞にでも当たらない限りチェンマイに行くことはないだろうから、この目で確かめる術はない
関連詩 チェンマイテクニカルカレッジ
0 件のコメント:
コメントを投稿