30段目1番
チェンマイテクニカルカレッジ
ある朝 健康公園を走っていたらニマンヘミン通りをフアイケーオ道路に向かって駆け抜けていく、一団を見かけた
人々の胸にはゼッケンがついている こうしたことはこれまでにも何度かあった 多分レースをしている
ぼくは公園を飛び出し、走る列に加わった
「ああ、俺は前からこうしてみたかったんだな」
と、その時気づいた
フアイケーオ道路を右折し、通りを左側へと寄れていく
タイも車は左側通行だ
どんどん男や女を追い抜いていく ぼくを抜き去る者は一人もいない
給水ポイントの少し先で、先行く人が輪ゴムを受け取っている
通過した証拠品になるのだろう そこをごぼう抜きだ
ぼくは公園で最低5キロは走っているが、この人たちは何キロ走って来たのか?
チェンマイ県立図書館を左に見てマニーノプラット通りに入る
地元の人が昔からチェングフアリン堡塁แจ่ง หัวลินと呼んでいる交差点を、今度は右方向めがけて走り抜ける
信号無視だが、おまわりさんがちゃんと車を押しトドメている
ぼくも赤信号を突っ切った
フアリン堡塁は四角く掘った濠の一角にある 風化し今は跡形だけだ
ぼくは濠に沿って走っている
堀瑞にも給水ポイントがあった 水を飲むために右端に寄れたのかと思ったが、前を走るランナーたちは右に曲がって行く
濠を渡って旧市街に踏み込んだのだ
ぼくは快調に飛ばす
この道、シングラート通りには覚えがある
もうちょっと行けば右手に家電量販店サヤームティーウィーสยามทีวีがあるのだ
四つ角に男が立ち「左に曲がるよう」指示しながら声援を送っている
(そろそろ頃合いだろう)とぼくは男の前を右に曲がった
係員が何か叫んだ そのまま50メートルばかり進んで後ろを振り返ってみた
ランナーたちは左に曲がったその先を、右手に吸い込まれていく
あとからわかったが、そこはチェンマイテクニカルカレッジวิทยาลัย เทคนิค เชียงใหม่という学校で、レースは学校が主催したものだった
本当は頃合いを見計らい、初めて参加したレースのことを書く予定でいた
でも学校の名前も出してしまったことだし、今回はチェンマイテクニカルカレッジにこだわってみたい
チェンマイの旧市街は濠に囲まれ、ほぼ正確な正方形をしている
地図を見ると正方形の上辺は地図の上辺と平行している
地図は普通、上方が北として描かれるのではなかったか
ならば東西南北は右左下上だ
グーグルマップでも旧市街の上辺は、パソコン画面の天辺と平行している
正方形の4辺の中央に、それぞれ門がある
上辺のチャングプアク門ประตู ชา้งเผือกは北向きということになる
チェンマイテクニカルカレッジは旧市街の北北西に位置している さてここでコースを紹介しよう
校舎はウィアングゲーオ通りに面している
校庭を出ると(といってもバスケットコートとテニスコートが1面だけの窮屈な敷地だが)右に曲がる
しばらく行ってプラポクグラオ通りを左折、今ぼくらは北に向かって走っている
すぐ旧市街上辺のチャングプアク門にさしかかる
ちょいと説明する
地元民がクームアング「我らが水路」คูเมืองと呼ぶ濠の内側にも外側にも道路が並行している
外を<外堀通り>内側を<内堀通り>と呼ぶことにしよう
内にも外にも4本の直線道路があるが、それぞれに名前が違う
つまり旧市街は8本の道路に囲まれてある
だいたい旧市街を走る時は外堀通りを使う
チャングプアク門には信号があるが、交通整理のおまわりさんが、赤信号でも渡れるよう取り計らってくれる
外堀通りのマニーノプラット通りを右に出る
外堀も内堀も一周すべて一方通行である 外が時計回りで内側は逆になる
今ぼくらは車輛と同じ方向を走っている コチャサーン通りの突き当りを右折
外堀の4本の道の長さは1,6キロから1,7キロぐらいだろう
ターペーทา่แพ門を右に見て走り抜け、チャーングロー通りを右に入る
この通りにだけチェンマイเชียงใหม่門と、西側にセーンプングแสนปุง門の二つの門がある
セーンプング門を過ぎ、ほどなくブンルアングルット通りを右折 このT字路を左に行くとエアポートプラザだ
ぼくたちはこれまで濠に沿って走ってきたが、スアンドークสวนดอก門から西に伸びていくステープ道路に入る
つまり通りを左斜めに横切ってステープ道路を左折する
この曲がり角にはラチャマンカラーピセーク国立図書館がある
しばらく走るとニマンヘミン通りを右に折れることになるから、さっきとは逆に道路の左端から右端へと移行する
ブンルアングルット通りのT字路にも、スアンドーク門の所にも、ニマンヘミン通りの交差点にも信号はあるが、それには頼らないで信号のない直線を横切るのである
車に注意は必要だが、前のランナーに従えばよい
トップランナーには誘導のオートバイがある
交通整理のおまわりさんがいなければ信号無視はできない このレースでは2箇所だ
フルマラソンも含め、チェンマイのレースでどこかの道が通行止めになったことはない
さて選手たちは今、ニマンヘミン通りをひた走っている
健康公園でランニングしていたぼくがその姿を捉え、列に加わったのはこの地点だ
このマラソンには5年連続で出場した
コースを記したちらしには10,5キロとある
チェンマイのというよりタイ王国のミニマラソンコースは10,5キロとなってるものが多い
おそらくハーフマラソンの半分との意味合いだろう
一般的なタイ人は時間にはアバウトで距離には杜撰だ 9キロしかなくても堂々と10,5キロと謳う
ただしこのコースは限りなく10,5キロに近い
旧市街からそれるステープ道路とフアイケーオ道路の部分とニマンヘミン道路、プラス旧市街に入ってゴールするまでの距離が10,5キロになるわけだ
走り始めた頃は、主催者とレース名タイムなどを記録していたいつのまにかやめてしまった
ぼくの記憶が確かならここでのベストは2度目に参加した時の44分08秒だ
開催は11月か12月ではなかったか
レースが近づくと道沿いの塀や金網に横断幕が張られる
ママチャリで通りかかったら、その時期でもないのに横断幕がかかっていた
なんとカムピーの野外コンサートが、あのせせこましい敷地で執り行われるのだ
なんとなんとその日は、ヴィザ取りでマレーシアのペナンだ
涙と共に酒をしこたま飲んだのだった
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