2021年8月29日日曜日

田中小実昌の5冊 その1 香具師の旅

28段目6番

大森兄弟を


検索すると<実の兄弟2人による日本の小説家コンビである>と出てくる

今市図書館の書棚に、その1冊を見つけたが借りなかった 

ぼくの知る大森兄弟への裏切り、背任行為になるような気がしたからだ

ウィキペディアによれば小説家コンビは1975と1976年生まれの年子とある


ぼくの友人の大森兄弟も、彼らより20上だが年子だった

そして兄キは数年前に死んだ 

建設現場で作業中、居眠り運転のダンプカーに突っ込まれて

当時、弟は兄キと二人で借家に住んでいた 

糖尿病の弟は、おさんどんをしつつ兄キに養われていた 

慰謝料の一部を弟は手にすることとなった


弟は言った 

「こっちにいる間の、めしと酒は面倒見るから、遊びに来いよ」

3年続けて倉敷に出向いた 行けば2泊するのが習わしになった

3回目の3日目の朝、弟は言うのだった

「酔っ払いの相手は疲れる タクシーとサウナ代は出すから夜まで時間を潰してくれ 高速バスの1時間前に駅で待ち合わせよう これからは毎年じゃなく、2年に1度にしよう」


一時期プリペイド式の携帯電話を所持していた 

弟はいくら話しても月々1万円というのを持っていた

時折、携帯が震えた 掛けてくるのは弟以外なかった

携帯が鳴れば焼酎(豪)をコップに注ぐのだった いつだって長電話になるので


今となっては、これから書くことの時系列は、はっきりしない

携帯をなくした 弟は「新しいのを買うよう」強く勧めた

ぼくは拒否し「連絡手段はこれから手紙にしよう」と手紙に書いた

コロナが転がり始める

弟から返信

「なかなかよく書けてるじゃないの」 

と偉そうに褒め上げ、もう1度手紙を投函

それから、ずうっと弟から音沙汰はない

返事がないのにこちらからお伺いをたてるほど、ぼくは厚顔ではない

2年に1度の約束も果たせないままだが、コロナのせいにしてしまおう


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