2021年7月11日日曜日

川上弘美の5冊 その1 神話2011

 26段目7番

雪隠に佇む


市営住宅の便所は狭い
扉は閉めないで利用している
ここの扉は内開きだから閉めないと、さらに窮屈に感じてしまう
でもせっかくの一人暮らしだし閉所恐怖症の気味もあるので、たとえばタイのアパートでは内開き外開きにかかわらず、ずっとそうしてきた

洋式トイレだからはもちろんだがも座ってすることにしている
開け放したまま用を足していると「腰掛けているのに佇んでいるような、世間が見渡せるような気になり、過去を振り返れば幸も不幸もなかったってこと」が素直に納得できる
将棋の枡目は81だ
4隅の枡目が雪隠だ

そこで詰まされるのを雪隠詰めという
ドアを閉めず便器に下半身をさらしていると「将棋盤に佇んでいる」錯覚を覚える
さあどこからでも詰ましにこい
そんなおおらかな気持ちになる

0 件のコメント:

コメントを投稿