2021年7月8日木曜日

村田喜代子の5冊 その1 屋根屋

 25段目4番

西暦2018 5月19日 快晴



天気の良さに誘われて、うちから歩いて2分30秒の大谷川河川敷
俺が見つけたテーブル石にケツをのっかけ、ワンカップ焼酎をっている
それにしてもだ
こんなに世の中の景色がくっきり見えちゃっていいんだろうか?
大谷川のずっとずうっと上流の男体山の山肌の襞の、ひとつひとつが手に取るようにわかるのだ
それどころか男体山の裏側にグーンと向こうまで広がっている、空の質感までが見えるのだ

こんなこたあ年に1回、いや30年に1回あるかないかのことだろう
直線距離で300メートル先の小倉山ではヨモギ色の葉っぱを纏った大量の木々が右に左に揺らいで、こっちに風を流し込む
下流に目を向ければ何と筑波山が墨絵となって見えるのだ
東京スカイツリーがなかったら、富士山までも覗けちゃうようなイキオイ

きっと藤井聡太は今、将棋盤の駒がこんなふうに、浮き上がって見えているのではないか
こんな天気に身を置けば、カネもゼニも欲しくはねえ
あったりまえだが仮想通貨もいらねえぜ
、思い出した
箪笥の引き出しの隅っこに、永いこと捩れて横たわってる11元を
2日前の新聞記事と一緒にだ

なんでも東武日光駅前に、寄り添って並んでいる土産物屋の1軒が外貨自動両替機を備え付けたんだと
、酒はいい加減で切り上げて、10元紙幣1枚と1元紙幣1枚とを握りしめ、くだんの機械と対峙した
くれてやる覚悟だったのにアラあら不思議ジャラジャラと170円がこぼれてきたぜ
まあせっかくのことよ
リオンドールでワンカップ焼酎、もう1本

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