2021年7月12日月曜日

川上弘美の5冊 その5 水声

 27段目1番

兄貴



が死んで10年になる
9歳違いだ
幼い頃はオヤジと同じように、何の躊躇もなく尊敬していた
中学の時は生徒会長で、県で一番の高校へ学区外から入った
浪人中の兄貴が国鉄対巨人のナイターへ、連れて行ってくれたことがある

国鉄の先発は村田だった
神宮球場は狭く右翼は90mしかない 
90と書かれたフェンスの丁度真ん中に、一塁手の左肩をかすめたの打球が突き刺さった時には、ひっくり返った 
運よくそれはファールだった
試合は国鉄が3-2で勝った

帰りの電車でバナナを食べた
日光に着いたのは、0時1時を過ぎて2時近かった
あの頃はそんな時間まで、まだ電車が走っていた
大学生になった兄貴は帰省すると「焼きそばを買ってこい」
と必ず言った
焼きそばの他にも雑多なものを売っていた「千代乃や」は、東武駅前「ほていや旅館」の横っちょにあった

鍋を片手に買いに行く
立ち上がるのも大儀そうな<お千代さん>の作るギトギトに脂ぎった焼きそばは、ぼくも大好きだった
成長するに従い(オヤジのこと)はドンドン嫌いになった
兄貴にそうしたことは、なかった
今でもある種畏敬の念を抱いている

ただ9歳の年齢差は、当たり前だがずっとそのままだった
余命1年と宣告され、きっちり1年後に死んだ
死ぬ前だったか後だったか、義姉からブログの存在を知らされた
膵臓がんをにすることから始まったブログらしい
だが(読んでみたい)とは思わなかった
義姉にブログの名を聞いたこともない




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