2021年7月13日火曜日

吉田拓郎の3枚 その2 今はまだ人生を語らず

 27段目6番

小林健二と宮部みゆき



見たいテレビ番組は、選挙速報とマラソン中継くらいなものだ
解説で選手の私生活をきめ細かにさらしてくれる、増田明美E.T.が似ていると言い出したのは、週刊朝日のおしまいに似顔絵のコーナーを持っていた山藤章二と思うがひょっとしたら、吉行淳之介の線も考えられる
曖昧なまま放っておいても、こちとら痛くも痒くもないので、そうしておく

そんなことより声を大にしたいのは、小林健二宮部みゆきがそっくりなのを発見したのは、この俺なのだ
小林健二はA級にいたこともある振り飛車党の将棋指しだ
小説家の宮部みゆきには飽きがきたようで、彼女の本が新着コーナーの棚に並んでも興奮しなくなった 一時はぞっこんだったのだが

小林健二とは直接会ったことがある
バンコクのサートゥンにあるタイ日本人会においてであった
日本の本を探すのには難儀したがスクムビット通りの<エリート書房>を贔屓にしていた 
それが日本人会には図書館があって会員になればタダで借りられる
食堂もあった 
不味かったが、街中の日本料理屋より遥かに安かった

アパートのあるバーンナーから渋滞に巻き込まれれば2時間3時間とかかったが、週一のペースで通った
月に一度郵送されてくる機関紙<クルンテープ>で、小林健二の来タイを知り、いそいそ出かけて行ったのだ
日本人会の将棋部に顔を出したのは、後にも先にもこの時だけだ

同世代の棋士は少ない 
昭和30年生まれは退会した永作芳也を除けば、土佐浩司東和男だけだ 
強いのは2つ下だが小林健二と田中寅彦だろう このふたりの生年月日は1ヶ月と違わない
せっかくなので10面指しの指導対局に混じり、教えてもらった
「田中寅彦と仲はいいんですか?」と聞くと「悪くはないですよ」と答えた
コバケンだって人気はあるが、一般受けするのは寅ちゃんの方だ タイトルも1期だけだが取ったことがある

「余計なことを口走った」と素直に後悔した
小林健二と宮部みゆきの時の過ぎ去るスピードは同等のようで、年を取るに従いふくよかになり、目尻が顔から落ちそうなところまで瓜二つだ
夫婦は寄り添うことで似てくるそうだ 
ふたりは赤の他人だが、お互いの所作のことごとくはまるで夫婦だ」

おやじが死んで10年以上経ち、その影はどんどん薄らいできた
反比例するように身と心はズンズンズンと似てきた
クローン人間はもとより臓器移植にも遺伝子治療にも真正面から反対の立場だが、科学者の言う遺伝子とかゲノムは実際に存在するようだ
俺とおやじが証明している
それに気づくたび嘆いてしまう
「これじゃまるで親子だ」






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