2021年7月5日月曜日

井上ひさしの5冊 その3 東京セブンローズ

 24段目1番

ゴメン!



よく言うじゃないか
ヒトは生まれてくるとき、親も場所も時も、選べないって
ってことは、おいらが今ここにいるのは
たまタマなのね

メソポタミア文明の頃に、チグリス川の畔で生を受けても
何の不思議もなかった
おいら日本人で、日本とタイの間を行ったり来たりして
暮らしてる
日本とタイを同じように愛してるし、嫌ってもいる
どっちかに軍配を上げるなんてことはできない
早い話、カッコつけて言っちゃえば
ナニジンでもいいのよね」

同じ人間じゃん 生き物じゃん
人生は必然じゃなく偶然
あした誰かがうっかりして、あるいは意識的に
ボタンを押し、核で世界が終わっても、それはタマたま
おいら、今までに、数え切れないほどのアリを踏み潰してきた
これからも嬉々として、豚肉を食らうだろう

それについては、ただひたすら頭を下げて
ゴメン!
と(責任逃れする振り)をするしかない
もう一度言わせてもらえば
もともと人間に、命あるモノに、責任なんてない
少なくとも、おいらの辞書に
自己責任なぞと言う、得たいの知れぬモノは
ナイ!



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