21段目8番
あとは死ぬまでの我慢
これまでの人生、我慢の連続だった
小学中学高校と、卒業まで我慢した
働き出してからも、とにかく「やめるまでの我慢」と、朝な夕なにくり返し唱えた
終わりのある、期限付きの仕事を選んだ
短期のやつだ
それでも最後までやり通せることは滅多になかった
俺は、我慢と努力とオリンピックが嫌いなのだ
大小便をしょっちゅう漏らしてしまうのは、そのせいだ
飯能に住んでいた20代後半、
「最低でも1年は働いて、お金を貯めるつもりです」
<高麗精密>の面接で、高らかに宣言した
半年しか保たなかったが、未だに最長記録だ
「いいバイトが長野にある」と知人に誘われ、何の断りもなしに辞めてしまった
最後の給料は、連絡するのが恥ずかしく、3ヶ月後に直接取りに行った
「失業保険の受給資格がある」ンだそうだ
頼みもしないのに厚生年金も健康保険料も引かれていたから、社員に近い扱いだったのだろう
引っ越した押上の職安で、3度にわたり、有り難く頂戴した
50を過ぎた頃、アルバイトであろうが派遣工であろうが、ある程度稼いでしまえば、例えそれが1ヶ月でも、厚生年金と健康保険料が強制的に取り立てられることになった
「イヤな世の中になったもんだ 勝手なことをしてくれる」
オヤジは俺の国民年金を俺に内緒で払っていた
文句を言ったら、満期まで100ヶ月以上残して、やめてしまった
会社とかオヤジを世間と言うのだろう
世間に対して我慢するのは、やるせない
ここ数年、我慢の免疫ができたのか、3ヶ月4ヶ月なら最後まで勤め上げることができるようになった
そうしてなるべく働かないように、お金を使わないようにしている
<あとは死ぬまでの我慢>と、自分で言っておいて恐縮だが
「死ぬまでの我慢とは、いったい、どういうことなんだろう?」
死と向き合うことに我慢はいらない
時折、突拍子もなく襲いかかってくる恐怖には
我慢どころか、ヒトの思考は形を成さない
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