21段目5番
川中子は、ぼくに
何の断りもなく死んでいった
よくよくつらつら考えてみれば
誰だって人はみな
断りなく、死んでいくのが筋
現にぼくも
何の断りも、こだわりも、わだかまりもなく
めまいも、耳鳴りも、立ち眩みもなく
静かに、ひとり
死んでいこう、と願っている
川中子は、ぼくに 2
何の断りもなく、死んでいったのだから
ぼくだって、誰に断ることなく、死んでいきたい
象や猫のように、人目というか、ナンの目にも晒されず、ひとり静かに逝きたい
この思いは川中子と対峙することで、派生した
たとえば原爆水爆で死んでも
この願いは、叶えられたことになるのだろうか?
それとも木端微塵!
消えた時間
を捜している
それは、忘れてしまった、記憶を失くした
時間ではない
また俺の十八番の、酔っ払って意識をトバしている、時間でもない
ヒトは一日を生き抜こうが、やり過ごそうが
刻一刻、死期に近づいていく
死後のことは誰にも分からない
ただし「死んだらおしまい」と考えるのは勝手だ
生まれる前の記憶はない
少なくとも今の俺に前世はない
ただ「死んだあとのことは、死んでみなけりゃ分からない」
という言い草には
抗し難い魅力がある
俺が捜している消えた時間は
宇宙誕生以前か、宇宙の成れの果てに
ありそうな気がする
そいつに出食わしたにしても
それは俺でない、俺だ
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