17段目7番
「恥ずかしながら」
と、横井さんが
もしかしたら、小野田さんの方だったかも知れない
帰って来た時
「ああ、そうなのか」と思った
今更、何がそうなのかを
事細かく分析する、気力、体力は残ってない
ただ恥ずかしながら、今日まで生きてしまった
数え切れないほど、マスをかいてきた
「だから何なんだ それがどうしたっていうんだ」
と、開き直る傲慢さも膂力も、持ち合わせてはいない
「ヒトの噂をしないのが、ひでおの唯一の取柄だんべ」
と母親から褒められるたびに素直にうれしがった
正直者に
残っているのは 保たれているのは
恥ずかしながら
「ああ、そうなのか」
という心境だけだ
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