17段目6番
復讐するは<きんせんか>にあり
自由が丘にきんせんかというバーがあった
等々力にムラムラという女が住んでいた
九品仏には、彼女の親友がいた
この二人にクサカリを交え四人で飲んだことがあった
銭湯で体を洗っていた時、多分音は出ないだろうと、ちょいと軽めのオナラをしたら、小指先大のミが出てしまい、それがプカプカと排水口へ流れていくのを、ミをちぢ込ませて見ていた
という話をその時して、おおいに受けた
その一週間前
クサカリときんせんかへ行った
ぼられた
この野郎と思った
一週間後
この野郎という思いを抱えたまま、今度は一人で行った
この前はいなかった、年上の女が応対した
顔かたち、そして名前は、思い出せない
おばさんの住処は、歩いて行ける距離にあった
途中の公園で、ぼくらはペッティングをした
家に着いてからも牛乳を飲み飲み、またペッティングをした
挿入は拒否された
始発電車が走る時間になった
「ちょっとそこまで送ってあげる」
と、女が言った
向こうから、男が一人歩いてきた
「ほら、あれがわたしのダンナ」
と、女は言った
男は軽く会釈をして通り過ぎていった
ムラムラさんは、ぼくに好意を持っていた
ぼくもその百分の一か十の一くらいの好意をぶら下げていた
ムラムラさんとおばさんには、何のつながりも、ひっかかりも、とっかかりもない
ただムラムラさんが記憶に立ち現われると
セットできんせんかが
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