14段目5番
風が窓を叩く
音を聞いて
こんな夜中に、訪ねて来る人など、一人もいないし
これは風の音と分かっているのに
「誰かな?」と思ったり
風が窓を叩く音を聞いて
風のつくタイトルの曲を数え上げたり
流しに小便をし、風が窓を叩かなかったら
ちゃんと「共同便所に行ったのに」と言い訳したり
次は「いつ叩くか? いつ叩くか? いつ叩くか?」ひたすら待ったり
風が窓を叩く音を聞いて
こんなふうに、あてどなく思いをめぐらせている人は、世界に何人いるかしら?
「いればいいのに」と独りごちたり
つき合った、たった一人の女に思いを、馳せ
「おお、何と貧しい青春よ」
と、嘆いてみせたり
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