2021年1月3日日曜日

LOSOโลโฃืの5曲 その3 จักรยานสีแดง赤く塗れ

 13段目12番

マイボニーリブズオーバージオーシャン


元スマップのナントカが、オートレースの大会に優勝したという記事を、図書館のスポーツ新聞で見つけた

すぐオーシャンに思いが至った
オーシャンとはサントリーレッドの青春に出てくる大島晃のことだ
その謂れは知らないが出会った時、大島晃はすでにオーシャンだった

高校で出来たともだちは真ちゃんとオーシャンだけだ 
3人はそれぞれに仲が良かったがツルむことはなかった
クラス替えもなかったし、同じ就職コースでもあったので、3年間ずっと一緒だった

4組の教室では廊下側の一番前の席に机を並べた
俺も人見知りするタイプだが、オーシャンは筋金入りだ
俺をヨモギタと呼びかけるのに1年以上要した
 
人称代名詞がなくとも、会話は成立する
高校時代、6人の女にラブレターを書いた
最初の2人には、名前を明かさなかった
なるべくなら自分を知られたくなかった

オーシャンも知ってるだけで、4人の女に次々とアタックしたが、実は結ばなかった
オーシャンはかなりの男前なのにモテと認識している奴は皆無だった 
極度の人見知りのせいだ

そしてオーシャンは、女の好きになり方が、随分とイージーなのだ
そんなオーシャンが3年の夏休み、何の前触れもなく我が家を訪ねてきた 
「中禅寺湖へ行って水上スキーをやるからつき合え」という
泳げない俺が水上スキーなんかに興味を示さないのは、百も承知のはず
だがオーシャンは強引だった
 
俺をオートバイの後ろに乗せ、湖まで運んだのだ
オーシャンと真ちゃんは日光高校のある、安良沢の精銅所社宅に住んでいた 
そこから俺んちまで下りで5キロ、いろは坂までは上りで8キロ、都合13キロはある
 
すっかり痛くなったケツを岸に置かれてあった椅子に預け、オーシャンが嬉々として水上スキーに興じるのを3時間以上眺めていた
オーシャンは俺を自宅まで送り届けると、また引き返していった

卒業間近のある日、真ちゃんちに集まった 
3人で酒を飲んだ
サントリーレッドの青春では、机に突っ伏し身動きできなくなった俺を、抱きかかえ、便所まで連れて行ってくれたオーシャンだが、真ちゃんから事情を聞くまでは、昼休みに学校を抜け出し、2人だけで飲んでいたとは、知らなかったはず

そのことがあったのかどうか、オーシャンは初めから飛ばした
やがて炬燵のテーブルにうつ伏せ、微動だにしなくなり大量に吐いた

卒業式を終え、上京する前、オーシャンが先ず日光を離れることになった
3人で別れを偲んだ
なぜか所野の野球場だった

東京に出たかった俺は、おやじのコネで茅場町の、とある会社に入社が決まっていた
真ちゃんは市役所 
オーシャンは宇都宮で自動車整備関係
自分の可能性を疑うものをまだ身に着けていなかった

真ちゃんは
「一生役所勤めだろうが、明らかに自由でもある」
と言ったのではないか
さてオーシャンは、何をのたもうたか? 
相変わらず言葉少なだったのは確かだ

そしてその日以来オーシャンとは会っていない
真ちゃんには時折、近況が入ったようだ
車の整備は止めた 引っ越した 競輪選手になった 結婚した A級になった 云々

それから以降のことは、真ちゃんも知らない
去年45年振りにクラス会があった
真ちゃんと示し合わせ出席にを付けた
卒業時は42人だったが、出席者は男9名、女4名 
物故者3名、住所が分からなくなっているのが9名
オーシャンもそのうちの1人だ

音楽、書道、美術の中からぼくは音楽を選択した
オーシャンが書道で真ちゃんは美術だった
題名も忘れたし何年の教科書に載っていたかも覚えてない
#マイボニーリブズ、オーバージオーシャン、マイボニーリブズ、オーバーザシー#
という歌があった
 
何度も聴いたし何度も歌った
オーシャンが近場にいなかったから気楽に歌えた
「これじゃまるでオーシャンンのテーマソングじゃないか」
と、苦笑交じりに歌った



関連詩 サントリーレッドの青春








0 件のコメント:

コメントを投稿