10段目5番
ママチャリブルース 2
観光ビザの延長にプロムナーダへ行く
アパートから入国管理局まで、ゆうに5キロ以上ある
もちろん「我が良き友」ママチャリに跨って行く
手続きを終え、そこから軽く5キロ以上離れた友人A宅を目指す
友人Aが借りている一軒家はチェンマイ県に属する
200メートル先の大家の豪邸は隣県のランプーン
友人Aはランプーン県の住人を気取っている
さっそく飲み出す 何本空けたろうか
やはりプロムナーダで90日出頭をクリアした、友人Bがビールを携えやって来た
帳が下りると俺は「月に向かって吠えたくなる」
月には向かわず、明かりのついた一軒にしけこんだ
グラスを傾けていると大家の旦那が迎えに来た
友人Aに頼まれたのだと言う
大家と旦那は籍は入ってないものの、れっきとした夫婦で、旦那が入り婿の形だ
これが善良を絵に描いたような男で、見てくれはゲーリー・クーパーと似ても似つかないが「善人サム」の何百倍も善人なのだ
その店の勘定はどうなったのだろう?
友人Bは、こっちがとっちらかってるうちにモーターサイを転がし、チェンマイのヤサに帰ったらしい
気がつけば朝だ
朝市で軽い肴と友人宅から歩いて2分の雑貨屋でビールを仕込む
ここのおかみは間違いなく俺に惚れている
この店へは、道路を1つ渡らねばならない
ビールをママチャリの買い物籠に突っ込み、取って返そうとしたら
「ちょいと、お待ち」
と、おかみはママチャリを奪い取り
道路を横切ってくれた
友人Aを叩き起こし、また飲み始める
いったい何本飲んだろうか
いつまでも友人Aの厄介になっていては申し訳ない
帰ることにした
友人宅からアパートまで15キロはあるだろうか?
3キロも行かないうちに足が上がらなくなってきた
おりしも右手に「サラピー警察署」が見えてきた
天の救いと飛び込んで
「もう自転車を漕ぎ続ける体力がない 送っていけとは言わないがどうか助けて欲しい」と訴える
警察署の隣はサラピーの郡役所だ
そこが主催のミニマラソン大会があって、これまでに3度参加している
そんなことを話し出すと相手の態度が和らいできた
もう一押しだ
「俺はデックワットเด็กวัดじゃないからワットスアンドーク
に住んでいるわけじゃないが、アパートは寺の裏手で、ベランダから見下ろすと、観光客の財布の中身まで分かるのだ」
と、あることないことぶちまける
「じゃあ送っていってやろう」との一言を得た
この説得に1時間半ほどかかったろうか
荷台付パトカーにママチャリを積み込む
警官2人が同乗する
着いてママチャリを引きずり降ろしてくれたも警官だ
一刻も早く眠りたい
フロントの「ターイ」という太った女の娘と警官ふたりを従え記念証拠写真を撮って、お開きとした
「#行きはよいよい、帰りは怖い コワイながらも通りゃんせ、通りゃんせ!#」
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