2020年1月7日火曜日

船戸与一の5冊 その5 満州国演義

4段目11番
心ひそかに網走番外地
 
 
ぼくはいかなる主義者でもないからアナーキストではない
けれど、その昔 
アナーキズムというコトバの響きに、ついおっ立ててしまったことがある
中学時代、名画鑑賞会で見た<雨月物語>の<京マチ子>
星より密かに、雨よりやさしく#
恋焦がれたように
国家がある以上奴らに逆らってはならない
「長いものには巻かれろ」だ 

順調にいけば、あと一年で生活保護の申請をしても、誰にも後ろ指を指されない、境遇に陥る
だけど貧乏人にもプライドはある
「酒は喰らうが、情けはいらねえ」
一つの戦略というか、計画がある
どうにも立ち行かなくなったら
つまりスッカラカンになったら
吉野家で牛丼の並とお銚子一本のタダ食いをし、刑務所に入る塀の中で心静かに果てるのだ

だが待てよ
この「心ひそかに網走番外地」大作戦が賛同者を得、あちらこちらで無銭飲食者が溢れかえってしまったら、銚子一本牛丼並のケチな咎人は弾き出されるかも知れない

そうなったらそうなっただ
そこいらで、そこいら辺の雀についばまれよう
その前に言っておきたい
ぼくらはつるんでは、ならない 
つるめば奴らの思うツボだ
奴らは無視するに限るのだ

国家があろうがなかろうが、オカズがあろうがなかろうがマスはかける
愛がなくてもおめこはできる
カネがなくても、国家があっても
祈るのに不自由はしない

どうか世界中が平和でありますように





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