船戸与一の5冊 その１ 砂のクロニクル

４段目７番

俺はお前が

キライなんだよ

反吐が出るほどキライだ

お前がしゃしゃり出てくると虫唾が走る

だいたいお前はエラそうだ

「働け　働くのは義務だ」だと

「ざけんじゃねえ！」　

働くのは罪悪だ

労働は人を不幸にする

貧しいこの身からさんざんむしり取っておいて、まだ働かす気かよ

気は確かか？

金なんか、いらねえ

心あたたかい人に恵んでもらうよ

どこで物乞いしようが、ごたごた言うな

「学校へ行け」

ってか？

ホントはガッコなんか嫌いだった

行きたか、なかった

宇宙のどこで寝ようが、地球のどこを耕そうが、俺の勝手さ

自給自足がしたかったんだ

耕す土は、小便を待ち焦がれてる土は、いったいどこにあるんだい？

俺を１１桁の数字にしたり、１２桁にしてみたり

やることがセコイよ

今市をママチャリで走っていた時だ

パトカーが擦り寄ってきて「歩道は危ないから車道に出ろ」と言った

次の日、同じ所を走っていたら、またパトカーが近づいてきて

「車道は危険だから歩道に乗れ」と言った

がたがたツベコベ四の五の、うるせえんだよ

だいいちスピーカーの音量、でかすぎるぞ

近所迷惑、傍迷惑だ

どんなにキライな奴だろうと「殺したい」と思ったことはない

ただしお前は別だ

刺し違えてもいい

安倍川餅みてえな面、ひゃくもしねえが

ケツメド洗って明朝7:００三本杉で待っていろ！