嵯峨野めぐり
ひとりだったから、歩いたんです
話しかけられる人などいないから、急ぎ足だったんです
足が痛いなと感じても、ただ歩くしか、なかったんです
高山寺の参道も、大覚寺の境内も、風のように通りすぎたのでした
どこかに腰をおろして一息つく、そんな余裕は、なかったんです
のんびり歩くのが苦痛なほど、いたたまれなかったんです
足に肉刺ができ破れ、それでも、まだ歩いたのに
バンドエイドを買って貼り、それからも、まだ歩いたのに
ひとりだったから、歩いたんです
駆け出しそうになるのを(ぐっ)とこらえて急ぎ足だったんです
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