台風一過
寝床に入ると
川の流れる音が聞こえてきた
台風が通り過ぎたから
大谷川は、どんなふうになってるんだろう?
台風一過の朝は
めしには目もくれず、母の制止も振り切り
河原へと飛んでいった
空は深く晴れ上がり
置いていかれた風が仕方なく吹き
いつまでも、どこまでも
ゴオーゴオーって流れる、泥色の川を眺めていた
堤防の脇の清水が、湖のようになった時があったっけ
澄んだ水面に太陽の日が
これ見よがしに光っていた
寝床に入ると
川の流れる音が聞こえてきた
思い出が、こぼれて消える
清水湖が、ぼくを踏み倒し
遠くへ、遠くへ
手の届かないところへ
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