2019年10月18日金曜日

ちばてつやの5冊 その5 ユカをよぶ海

3段目4番
夏は来ぬ


梅雨空に傘を差し
ひとり、歩いていた
湿ったベッドに、横になり
何時間もそうしていた

そして、もう夏
太陽の陽にすべての物体は輝き
ひとびとは明るく笑い
開放の光は
ぼくの住む町内にも、押し寄せ
容赦なく、飲み込もうとする

けれど、飲み込まれることはなく
「アッチー、チチチー、アチ」
と、ランニングまで脱ぎ
ちゃぶ台に
乗せている



 

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