1段目13番
遠い昔
そこには母がいるはずなのだが
ここまでだらだら生きてきてしまうと
遠近感が損なわれ
焦点が合わない
うまく像を結べない
遠いのか近いのか、遠いのならどのくらい遠いのか
まだボケてはないが
認知できない
ほんとうはそこへ行って温もりたいのに
日向の匂いを皮膚呼吸でもって取り込みたいのに
柔らかな情景に包まれたいのに
どうにもこうにも後戻りはできないようだ
ならば
ちょっくら未来たって
無理、無残、無様
それどころか
ここまでだらだら生きてしまえば
一寸先の闇を覗こうにも
そのなんだ
スキルってやつがありゃしねえ
だらだらと生き
だらだらになっちまった自分に
悔いなぞないが
ただ一度
きっと互いに照れるだろうが
生きてる母を
抱きしめ
たかった
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