0段目2番
スアンドーク病院
別名マハラート病院の診察料を踏み倒したことがある
ドイサケットカオ道路をアーケードに向かえば、Tの字に突き当たる
その少し手前右側の、アマチュアバンドの生演奏もやる酒テラスで飲んでいたのだった
連中が次に向かったのがスアンドーク病院だ
いつのまにか診察台に横たわっている
0時は過ぎているだろう
わたくし蓬田秀雄は日本生まれの日本人で昨日は酒を飲み
例によって泥酔し追い出されるように店を出て、自転車に跨りいくらか行くと、タイ人の好きな荷台付乗用車と正対する羽目になった
どちらも譲らない
こっちにだって泥酔したプライドがある
荷台にいた男が降りてきて揉み合う形になった
(のだと思う)
ぼくは転倒し後頭部を強く打った
(のだと思う)
思う思うで恐縮だが覚えてないのだから仕方ない
頭から出血した
頭から出血した
これは確かだ
車にいた3人か4人か5人の男たちは血を見てびびった
ぼくを荷台に積み上げ、おそらく自転車も積み込み、どこかへと走り出した
着いたところがチェンマイラーム病院だった
前回書いたように、ここにはいい印象を持っていない
なので「ここじゃいやだ」とだだを捏ねたのではないか
連中が次に向かったのがスアンドーク病院だ
いつのまにか診察台に横たわっている
(うとうと)しているうちに治療は終わり「3針縫った」のだそうだ
「俺を運んできた奴らはどうした?」と聞くと、どうも帰ってしまったらしい
「ちょっと待っててくれ、治療明細を持ってくる」
と研修医らしい若い男も、何処かへ消えた
0時は過ぎているだろう
診察室にも、それに連なる空間にも、ひと一人いない
(悪いのは奴らだ 好き好んでこんな所に来たんじゃな い 金を払うべきは断じて俺ではない)
まだ泥酔の域から脱しきれぬ眉間に言い聞かせ、とんずらをキメたのだ
(悪いのは奴らだ 好き好んでこんな所に来たんじゃな い 金を払うべきは断じて俺ではない)
まだ泥酔の域から脱しきれぬ眉間に言い聞かせ、とんずらをキメたのだ
朝方2、3時間まどろみロータスパーンスアンゲーオホテルにくっ付いている交番へと赴いた
連中を(訴え)自転車を取り戻すのだ
だが誰を訴えればいいのだろう
車の色も車種も乗っていた人数も曖昧だ
わたくし蓬田秀雄は日本生まれの日本人で昨日は酒を飲み
と、調書を取り出したものの、そっから先へ進めない
ビールは何本飲んだかだって?
6本か7本か8本か9本だ
正確には何1つ覚えていない
業を煮やした交番はバイクに乗っけて、ぼくをツーリストポリスへ移動させた
ここでも同じように調書から始めたが、埒が明かない
そんなこんなで実地検証をしようということになった
パトカーではなく普通の車だったと記憶する
まずはチェンマイラーム病院だ
地下1階の駐車場を隈なく探したが自転車はない
次に向かうべきはスアンドーク病院だが、あの広大な敷地を思うと尻込みする
未だに自分が治療を受けた病棟を把握できていない
きのうおそらく通ったであろう道を遡り、店まで行ってみたが自転車はなかった
ここまでくるとさすがの酔いも、醒め始め、興ざめてもきた
「もういいです 諦めます」
きのうおそらく通ったであろう道を遡り、店まで行ってみたが自転車はなかった
ここまでくるとさすがの酔いも、醒め始め、興ざめてもきた
「もういいです 諦めます」
警官はしつこく「アパートまで送ってやる」と言い張ったが、丁寧にご辞退申し上げた
このあとも、左足の甲にヒビが入った時、デング熱の時、転んで左目が潰れてしまった時と
何度もお世話になっている
何度もお世話になっている
無論のこと治療費はきっちりキレイに払ってやった
いや
いや
払わせていただいた
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