2024年7月1日月曜日

オードリ・ヘプバーンの5本 その2 ティファニーで朝食を

 48段目2番

横転 2


入院2日目

朝食8:00 昼食12:00 そして夕食が18:00である

きょうは6月23日だから入院後1週間が過ぎた

日記というか忘備録のようなものをつけてみる

68歳の老人に思い出せることは少ないが

1階の売店に行ったのは確かこの日

付添人に車椅子を押して貰う そうしないといけないようだ

歯ブラシ、歯磨き粉、パンツ2ケセット、3枚刃の髭剃り3ケ、

タオル 

いくらだったかは忘れた 全体的に高い

毎日連日、スキャンとレントゲンを撮るようだ

血圧、脈拍、体温はもっと頻繁に計る 腕と腰のガーゼ替えと消毒は1日2回

緑色の公衆電話が5階食堂にある と言っても食べるのは各部屋でだし<食事はご遠慮ください>との但し書きまである でも自動販売機が2台あるのだから飲むのはいいのだろう

クサカリに電話 己の携帯の番号を教えてもらう

分からないと部屋着などを、売店でレンタル注文することが出来ない

クサカリは姉に連絡することを強く勧めた

入院手続きに必要な書類が4枚ある うち1枚に連帯保証人の欄があり、姉以外にはあり得ないと、クサカリは言うのだ

「まあ、あしたあたりに」と電話を切った

これまでのコトと合わせ、姉には今回完全に見放されてしまった

携帯番号が分かったのでまたぞろ付添人に車椅子を預けて部屋着を取りに行く

脱げば持って行ってくれ、常時3着はあるようにして置くとのこと


入院3日目

部屋を移動した 最初は隣の隣に行ったのだが、結局は反対側の502号室へ 4人部屋 他3人の名前は覚えた

食堂の片隅に本コーナーがある 読みたい本が何冊もある

部屋で読むより食堂の椅子に腰掛けた方が、ずうっと落ち着く

夕食を食べたら姉に電話しようと心に決める

携帯と充電器、色々な人たちの電話番号や住所を書いた茶色のノートはどうしたって必要だ

ところが姉の方で来てくれた

面会は17:00までだが19:00を回っていた 特別に会わせてくれた

必要必須と思ったのだろう ぼくが売店で買ったモノのうち、パンツ以外をすべて持ってきてくれた

3つのモノたちのポジションを説明し、部屋の鍵を渡した


入院4日目

木曜日である クサカリは難病<大腸炎症候群>の診察に月に何度か、ここへやって来る

浴衣に帯、パジャマ、そして大量のタオルを持ってきてくれた

ともだちだと手続きがややこしいようで会うことは叶なかった

そうそう、またまた付添人にお頼りし売店でハガキを購入

姉に書く きのう来てくれたお礼と、もう1度土曜日迄に来て欲しいとお願いする

これから帰るという職員に手渡す ここを出て一番近いポストに投げ入れる、とのこと

下着とタオルを洗濯した この5階にも洗濯機はある 洗剤は売店に行かねばならないが、ぼくはいつだってす洗いだ

¥1,000のテレビカードを使う 1回90度数だからあと10回は大丈夫

乾燥機もあったが、点滴用の機材に干した


入院5日目

部屋着をキャンセルし3着分返した 3日間のレンタル料はコンビニで払えばいいようだ

夕食のあと姉に電話 あした来てくれることになる

持って来るモノを追加した 毛抜き、爪切り、眉毛を切るハサミと鏡

けれど茶色のノート類は、すでに自宅に持ち帰ったらしく、ナニはドコにあるか?の説明を遮り、電話は切られた


入院6日目

姉は15:00に来た

ぼくが追加した4品、わざわざ新品を買っていた

それと、とよ子ちゃんからの手紙と、ハガキ2枚に便箋

「お前は酔うと人の嫌がることをネチネチとこれでもかそれでもかと言うのだ」

と散々小言を頂戴する

これはヒロヨシの得意技だが、ぼくにもそんな面があったのか!


入院7日目

というときのうのことだ

きのうのコトなら少しは覚えているのではないか?

朝食には毎日牛乳がつく

昼食のメニューが思い出せそうで思い出せない


入院8日目

まだ6:00前だ

さっき看護師□□さんが採血していった

□□さんは最初に採血を受け持ってくれた人だ

「1度目は出がもう一息二息だったのにきょうは面白いように出ますねえ」って言ったら

大きく頷いた

13:00シャワー室で髭だけ剃った

あしたは手術なのだ


手術日

担当の看護師の言うことが曖昧で、何回も待機させられた

1度なんか手術室まで行ったのに、まだ前ノが終えておらず部屋まで引き返した それからの待ち時間のナント長かったことか!

手術にはぼくの立会人が必要、上の姉が来てくれた 何度もお礼を言う

職員が秘密の番号を押すと扉が開く仕掛けなのだが、その向こうに姉はいた

手術室まで出向いて、また元の所に戻る どうせ引き上げると分かってるのにエレベーターに再び乗るなんて、おかしかないか?

全身麻酔だから手術中のことはナンニも覚えていない

無事終わりぼくは5階の1室に運ばれた

さてそれからが永遠のようだった

傷口がイタク眠れない 小便が出そうで出なさそうで呼び出しボタンを押すに押せない

そのうち仰向けの姿勢から右肩を下にしてベッドの縁を両手で握る段取りに気がついた ある程度経ったらまた仰向ける

そいつをひたすら繰り返した

看護師が1時間おきに熱と血圧を計りに来る その1時間を待つことの辛さよ

朝飯は出た その部屋で食べた

オムツ状態だったので夜勤者を呼び出し「パンツに履き替え自力でトイレへ行ってもいいだろうか?」

と、お伺いを立てる、即OKだった

いったいそれまでに何回尿瓶の口を当てがってもらったろう?

永遠に耐え切れず、呼び出しボタンを押してしまったことが、1度だけある

永遠と時間の関係性は、体験しなきゃ分かろうはずがない

永遠とは<刹那の積み重ね>のようにぼくには思える









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