2023年12月25日月曜日

高橋三千綱の5冊 その2 プロポーズ

44段目6番

高飛車


日光市シルバー人材センターで草刈りに励んでいた時、Kという男がいた

持ちつ持たれつ、毎日のようにヤクルトを持ってきてくれ、彼から貰ったモノが一番多かった

6歳年上だが世間は狭い、なんと彼は八起を知っていた

そこで働くぼくを見たとも言った

豚の脳ミソを使った料理、チャーメンだって知っていた

ぼくが赤羽にいたのは1年そこそこ、彼は30年板前をやってたのだから詳しいのは当たり前

そこを引き払って日光に移り住んだそうだ

センターを辞めてからも、図書館へ行く時なんかによく草刈り班と行きあった

 熱中症になった彼だが、夏場を乗り切ったらしい

差し入れをしたりもした

「これから伺っていいか?」とある日Kから唐突な電話があった

ガラケーの番号を教えた記憶はないから、誰かから聞いたのだろう

彼は顕正会の信者だった

年を食った女と若い女が一緒だった

昔話もそこそこに、彼は顕生新聞を朗読し始めた

その新聞なら知っている 時々郵便受けに投げ込まれていたノを読んだことがある

高飛車な印象だけが残った

高飛車は将棋用語で浮き飛車ともいうが、今使ったような意味合いはない

時折、年を食った女が朗読のミスを正す

彼も読めない漢字に出くわすと、素直にお伺いを立てる

彼女のほうが格上なのだ

30分以上かけ、やっと読み終わる

さらに顕正会について「ああだ、こうだ」語りだす

ここぞとばかりに年を食った女がしゃしゃり出てきた

ぼくは遮った

「今はやめたが、ついこないだまでエホバの証人と聖書の研究をしていた 姉が証人なので愛着もある なのでぼくなりに色々考え、それなりの結論を得た、新聞はこれまで通り下のポストに入れてくれ、だが、顕正会員になるつもりは微塵もない」

と、追い出した





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