38段目9番
長い夢
を見た
普段は夏にしろ冬にしろ床についてる間は1時間置きにトイレに立つ
酔い痴れ、疲れていたのだろう、長い3時間半にも渡る夢を見たのは初めてだ
どんな夢にしろ(ほん)の一瞬に過ぎないと言われ続けてきた
けれど、長い夢を実際に体験してしまった以上
(ほん)の一瞬を信じるわけにはいかない
ただいくら長くたって夢は夢だから、理路整然としていない 霞がかかったように曖昧だ
おぼろな記憶をぽつぽつ拾い集めてみると、どうやら夢の記録を前々から採っていたらしい
となると1人の、たぶん男が、最重要人物になってくる
大学ノートに頻繁に登場する男の名前は、はっきりと記したはず
そいつの名前をどうしても思い出せない
夢日記をつけたのは数回だが、男に付随する何人かをも、書き留めた
そいつらも闇の底だ
目覚めて、夢の記憶を記録した事実などまったくなく、大学ノートなぞどこを探したって出てきやしない それで夢と認識した
最重要人物の名を掘り起こせないのが許せなく、つい酒に走ってしまった
晩年ともなれば夢の見方が、若い頃と若干異なるようだ
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