30段目9番
口角
を、辞書で引くと口の端とある
最近本を読むと、流行なのかファッションなのか口角が頻繁に登場する
昔も今も、ぼく自身、口角なんて言葉、使ったことはない
目にするのも稀だった
図書館が民間に委託される、ずっと前
ぼくが30代に突入した頃
日光市がまだ旧日光市で、真ちゃんが役所の職人否職員としてバリバリ鳴らしていた当座
秘密裏にとある司書の住所を調べてもらいラブレターを書いたことがあった
ある日、図書館の建屋を出ると、とある司書が追いかけてきて
「あの手紙の宛先は、わたしで良かったのでしょうか?」と聞いた
季節は冬で、浮浪者の否ホームレスの好みそうなジャンパーを纏い、なかなかに似合ってる、と認識していたぼくは
「そうです あなたにです」と答えた
2日後、返事が届いた
まず「わたしは、今、婚約中の身の上」なのだ、との断りがあり、図書館を訪れる人の立ち居振る舞いを見て、その人がどんな本を借りるのか、想像するのは楽しい 当たるともっと楽しい 近頃よく当たるようになった とあった
謂わば「図書館は、ぼくの書斎」だ
妙に落ち着いてしまい、ついオナラがこぼれてしまう
時には音まで響かせてしまう始末だ
かように図書館の司書に、ラブレターを送ったりするような男であるから小説読みとのプライドがある
1冊の本を読んだ
ある作家が、前半に口角と連発しすぎたせいか、後半は口の端と書き換え、これでもかと、口角を上げ下げしていた
師走である
口角泡を飛ばすのは大人気ないので、このくらいにしておく
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