19段目2番
骨
ぼくは骨のある男ではないが、焼かれて残るのは骨だ
「骨折り損のくたびれ儲け」とは、どこの馬の骨の戯言か
焼け残った骨は空にさらされ宇宙の塵に還る
魂があるとすればそれは骨に宿るのだ
左右対称は好きではないが、骨は理科室の骨格標本のように、左右対称でなければならない
腰部変形性脊椎症の診断で、腰を回し始めたことは前に書いた
それから三年以上になる
腰回しは骨を左右対称に戻す作業だ
固まっていた首が、どくろ首の如く面白いように回る
以前は、後続のランナーの足音が聞こえてきても
じっとしているしかなかった
今は右に左に振り向いて、ウインクまでしてしまう
気前良く抜き去られてしまうのは、昔のままだ
左右対称だと息がしやすい
「性力に変化はない」っていうか起たないままだが、性欲は有り余る程だ
「すべてが、いとおしい」
カラオケの十八番は<霧笛が俺を呼んでいる>と<柳ヶ瀬ブルース>だ
三番目に大事な曲が<骨まで愛して>
だ
背骨
おっ立て
尾ヒレをつけりゃ
あらアラ不思議
カナヅチだって泳げちゃう
背筋伸ばして
背骨を立てて
おいらひとりで旅に出る
猫背で短小のおいらだが
床に直接仰向けりゃ
背骨しなって
尾骨がうたう
背筋伸ばして
背骨を立てて
おいらあしたへ舵を切る
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