17段目2番
雨音はチョメチョメの調べ
精通は遅く、高校一年の時だった
それからはその遅れを取り戻すべく、カキにカキまくった
「天使の誘惑」や「雲に乗りたい」を歌っていた頃の黛ジュンの太股でいったい何回カイたことか
自分だけの部屋を持ったことはなく、壁に貼ったポスターは一枚しかない
それは黛ジュンではなく小林麻美だった
小林麻美がいわゆるアイドルだった
小林麻美でカカないのは彼女を穢したくないからと、一応取り繕っていた
本当は、どうあがこうにも興奮できなかった
高校に入った日
「卒業したら最初の給料でソープランドに行き、童貞を捨てる」
と誓いを立て、まっとうしたのだから貞操観念の強い少年だった
上京して程なく「月刊カドカワ」が創刊され渡辺淳一が対談のページを持っていたことがある
それに小林麻美が出た
終わったあと渡辺淳一は口説き、小林麻美は袖にしたはずだ
その中で「わたしは今、じゃがいもみたいな男に恋をしている」と告白している
ザ・スパイダースのドラム弾き、田辺エージェンシーの社長田辺昭知だ
中島らもはコントもエッセイもキレル
小説はすごいものに(なるぞ、なるぞ)と思わせておいて破綻させたりする
中島らもを中島らもたらしめたのは、酔って階段から落ち死んだことではなく、クスリで留置場にぶち込まれてもまったく日和らなかったことだ
清水健太郎がエライのは懲りないからだ
法律がある以上法律は守るべき、という固定観念が染み付いてる
マリファナをつきあいで二、三度ふかした経験しかなく偉そうには言えないが、たった一度大麻で挙げられただけで、しょげ返ってしまったスーパースター某々には落胆した
せっかく国家があって法もあるのだから同国人同士の、または同じ民族間のおまんこを禁ずる法律を、各国が作ればいいの
と思う
ついこないだまで南アフリカには背徳法があったのだ
不可能なことではない
そうすれば血が混じり合い色も大きさも匂いも臭みも観念も融和して、すこしは戦争が減るのではないか
同級生のチョメチョメさんは高校一年の時、すでに高度な性的技巧を身につけているとの噂があった
高校二年の時、遠藤賢二や古井戸や泉谷しげるなんかが一堂に会したコンサートに宇都宮まで出っ張ったら、前座としてチョメチョメさんが颯爽と登場
五つの赤い風船の「母の生まれた街」を歌った
うまかった
こんなにうまいのになんでオマンコに走ってしまったのか、と訝ったが、ハイレベルなテクニックがあったからこそ魂を揺さぶる歌が歌えたのだと、今なら分かる
黛ジュンであれほどカクエネルギーがあったのだから、直接本人に「やらせて」とお願いすればよかった
会うことも叶わなかったろうが、そうした過程を踏まえた、新たなるパターンでリフレッシュできたかもしれない
固定観念と貞操観念が、がんじがらめにしていた
少しだけ性におおらかになれたのは皮肉なことに、女とハメた
いという欲求がなくなってからだ
もう三年以上女の穴にも男の穴にも、こんにゃくに切り刻んだ穴にも入れていない
フリーセックスという語感だけで、新聞の見出し広告の樹まり子という活字だけで、イッテしまった
いや、先走り液でイトも簡単に濡れそぼってしまった、昔がなつかしい
チョメチョメさんは斜向かいの席に座っていたこともあった
勇気を振り絞りほんの一舐めでいいから「舐めて貰えないか」と一度お願いすべきだった
これも拒否されたろうが、もしかしたらひょっとしたら運が良けりゃ、ほんとうに一舐めしてくれたかもしれない
としたら、ぼくの人生はまったく別なモノになっていた
世の中を楽観的に、人生を肯定的に見れば
国家がなくても、言葉やじゃがいもがなくても
小林麻美は田辺昭知と出会い、愛し合っただろう
何千回も何万回もやっただろう
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