9段目10番
マル田バツ子からの三通の手紙
<目覚める前の目覚め> <波> <至福の雨> <あったかそうに光るガラス窓から> <雨が雪に変わる朝> <大谷川暮秋> <クリスマスおめでとう、そして良いお年を> <飛び火> <角筈エレジー>の9篇はマル田バツ子を想って書いた詩だ
今熱があるんです 37.3度 平気だと思ってもおでこを手で押さえると熱が乗りうつって掌までが熱いんです きっと掌の中にいるもうひとりの自分が怒っているんですね よもさんの言うことを素直に受けとれなかった自分に 悪げがあってあんな事持ち出したんじゃないんです 「それでもあげるよ」って言ってほしかったんです わざわざとって置いた詩集をくれるというだけでよもさんの気持ちを分かるには十分なはずなのに、少女マンガ的にあれこれ想像しすぎてしまったのがいけないんです あれから家に帰って 「だけどせっかく持ってきたんだし」と渡された詩集に挟んであった手紙を読んだら泣いちゃいました わたし自分が自分らしくいられる時間を、もっと落ち着いてよもさんを思える自分をがんばって見つけます だから今日はひどいこと言っちゃいましたが許してください
「変な手紙出しちゃったけど、うまく書けなかったんだけど、わたしの気持ち分かってくれた?」
「分かったから電話したんだよ だからこうして喋ってるんだよ」
「分かったから電話したんだよ だからこうして喋ってるんだよ」
「ぼくをキライと書いた手紙をください 付き合ってる人がいます」と付け加えてくれれば鬼に金棒天下無敵です
わたしはよもさんがキライです そしてわたしには付き合っている人がいます
「どうしてここが分かったの? 家に電話した?」
「バイトからの帰りと思った」
「きょうはバイトじゃないもん! エッ子んちへ行った帰りだもん」
この前は久しぶりにみんなと会えて楽しかったです 目つきがちょっと変だったけど、昔のままのよもさんでした この前もちょっと言ったけど正式に決まりました だからよもさんの提案はうれしいのですが、なしということで さようなら、元気でいてください わたしも元気に生きていきます
0 件のコメント:
コメントを投稿