ペナン島
から船に乗りスマトラ島のメダンを目指した
ペナンへ来るのはタイ王国のビザを取るためで、いわば年中行事だ
トリプルもあると聞いたが、3ヶ月ビザをダブルで貰えば事足りた
遠い遠い昔、ペナンの両替屋でパスポートの性別が「女になってる」と教えられた
それまでは、どこの誰も気づかなかったわけだ
やはり直しておくべきだろうと、領事館へ駈け込んだら手数料を払わせられた
帰国後、旅券課へ「金を返せ」と息まいたが「申請書の印は女についていた」と指摘されればどうしようもない
パスポートを盗られそうになったこともある
バスに乗っていると、空席があるのに、隣に男が座った
異変を感じて立ち上がると、通路に小銭が転がり、パスポートが舞い落ちた
パスポートだけを拾い「降ります、降ります」と日本語で喚き
途中下車した
尻の隠しポケットが切り裂かれておりイポーまでの切符がなくなっていた
バタワースの窓口へ再び出向き、ゼスチャーで事の次第を説明した
発車時刻まで、その席に座ろうとする者は現れず、再購入はしなくて済んだ
イポーからクアラルンプール、マラッカと出て海岸線を東へと廻っていった
ペナンではカレー屋以外なら、どこでも「ギネスタ」が飲めた
移動ごとに酒の入手は困難になった
チェラティンビーチではアルコホール求めて25キロ歩き続けた
閑話休題
さて、メダンで知り合ったバカ親切な男の家で、1晩厄介になった
男に見送られ、バスでトバ湖に向かう
湖の畔に3泊した
夕方になれば宿前の屋台で、白濁した椰子酒を飲んだ
ゲストハウスのオーナー、3日連続、隣に座った
湖の中の島に渡った
温泉があるのを知り、かなりの距離を歩いて行った
食堂も兼ねるよろず屋で、伸び切ったインスタントラーメンを肴に、瓶ビールを2本飲んだ
丸みも大きさも土俵のような露天風呂に浸かった
その日は雨降りで、脱いだ衣類が濡れないように、傘を差した
言いたいのは、このようなことではなかった
メダンへ行く船で理想の女と出会ったのだ
性格までは分からないが、姿、形、仕草、服装の趣味、どこをとっても、まさに追い求めていた女だ
20を過ぎ、おそらくは日本人
「声をかけよう かけよう かけなくちゃ かけるんだ」
と10数回、けしかけたが果たせなかった
2週間後、帰りも同じメダンからペナンへ向かう船に乗った
奇跡のような偶然は、起こらなかった
0 件のコメント:
コメントを投稿